横浜開港記念コンサート(古楽器の響きで味わうモーツァルト)

横浜開港記念会館講堂で行われた、古楽器によるモーツァルトの協奏曲と交響曲ーⅡ演奏会を聴いてきました。

曲目は
ピアノ協奏曲 第23番 イ長調 KV.488
交響曲 第39番 変ホ長調 KV.543
バセット・クラリネット協奏曲 イ長調 KV.622
の3曲です。
演奏はアンサンブル山手バロッコ、
ソリストは
荒川 智美(フォルテピアノ)
満江 菜穂子(バセット・クラリネット)
です。
いずれの演奏題目も、モーツァルトの大人気作品とは言えないかも知れないが、私の大好きな名曲揃いです。
ずっと楽しみにしてました。 


横浜開港記念会館は歴史的建造物で、国の重要文化財に指定されています。
愛称、ジャックの塔として知られています。
関内方面に行くときに近くを通ることがありましたが、この中の講堂でコンサートが聴けるとは知らなかった。


中の講堂も洋式な造りの素敵なホールです。

最初に演奏されたK488のピアノコンチェルトは第二楽章のAdagioがとても印象的な曲です。
弾き方、聴き方によっては生の深淵を見つめるような感じがします。
荒川さんの演奏は2月の日本モーツァルト愛好会でも聴きましたが、とても美しい響きがするフォルテピアノです。
当時のワルターピアノの復刻版だそうです。

第38番のシンフォニーは打楽器(ティンパニ)無しの室内楽的な演奏でしたが、堂々とした響きでした。
指揮者なしでの演奏ですが、卓越したコンサートミストレスの小野萬里さんがいます。 


ソリストの満江 菜穂子さんが右手に持つのがバセット・クラリネットです。左手のクラシカル・クラリネットと比べると違いがよくわかります。
低域を拡張するため、キセルの雁首のようなものが出てます。
バセット・クラリネットはモーツァルトの時代以降廃れてしまったので、当時の文献を元に苦労して復刻したものです。
この楽器でモーツァルト当時のクラリネットの名手、盟友アントン・シュタードラーがクラリネット協奏曲を演奏したのが今回、甦ります。
クラリネット協奏曲は本来、シュタードラーのバセット・クラリネットのために作曲されたと考えられています。
バセット・クラリネットの低音を音程ぎりぎりまで使って、低弦の響きと溶け合う様は絶品でした。低域が充実すれば、高音も冴えて美しくなります。
モーツァルトもシュタードラーも、結構、低音マニアだったんだなと思いました。
今まで、チャールズ・ナイデックやホープリッチなどのバセット・クラリネットの名手たちの演奏を演奏会で聴いてきましたが、
私にとっては、今回の満江さんの演奏が最高でした。

コロナの年末を忘れるような、極上のコンサートでした。

 



 

 

 

 

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